くせ毛を真っ直ぐにしたいし髪色もキレイにしたい、そう思った時に悩むのが施術の順番ですよね。

縮毛矯正をかけた後にカラーをしたら色が変になるのかな?



逆にカラーをしてから矯正をかけたら色が落ちちゃう?
といった疑問は、髪を大切にしている人ほど深く悩んでしまうものです。
特に、定期的に白髪染めをしている方や、ブリーチなどのハイトーンカラーを楽しんでいる方にとっては、一度の失敗が取り返しのつかない「ビビリ毛」に繋がるリスクもあるため、不安も大きいかなと思います。
私自身も過去に、知識がないまま適当な順番で施術を受けてしまい、せっかくのアッシュカラーが一瞬でオレンジ色に退色してしまった苦い経験があります。あんな悲しい思いを皆さんにはしてほしくありません。
この記事では、縮毛矯正とヘアカラーの施術順序における「化学的な正解」と、美容師さんが現場で実践している「失敗しないための鉄則」を、専門的な知識も交えつつ分かりやすく解説していきます。
同時施術ができる裏技や、ダメージを最小限に抑える最新の酸性メニューについても触れていますので、ぜひ美容室に行く前の参考にしてくださいね。
- 縮毛矯正とヘアカラーの正しい施術順序と理由
- 髪へのダメージを抑えるための最適な施術間隔
- 薬機法に基づく同時施術のルールと可能なケース
- 失敗を防ぐためのホームケアとシャンプー選び
- 縮毛矯正とヘアカラーの正しい施術順序と理由
- 髪へのダメージを抑えるための最適な施術間隔
- 薬機法に基づく同時施術のルールと可能なケース
- 失敗を防ぐためのホームケアとシャンプー選び
縮毛矯正とカラーはどっちが先かの結論と理由


クセも気になるし、プリン状態も直したい!と美容室に行くとき、どちらを優先すべきか迷ってしまいますよね。
ここでは、失敗しないための基本的な順番と、なぜそうするべきなのかという理由について、髪の仕組みに触れながら徹底的に解説していきます。
縮毛矯正とカラーの順番は矯正が先が基本


結論からしっかりとお伝えします。縮毛矯正とヘアカラーを別の日に分けて行う場合、「縮毛矯正を先、ヘアカラーを後」にするのが基本にして絶対の正解です。
美容室でカウンセリングを受ける際も、良心的な美容師さんであれば、ほぼ間違いなくこの順番を提案してくれるはずです。
では、なぜ矯正が先なのでしょうか?これには、それぞれの施術が髪に与える影響の深さと物理的な変化が関係しています。
髪の工事現場で例えると分かりやすい
イメージしやすくするために、髪の毛を「家」に例えてみましょう。縮毛矯正は、家の柱や骨組みを一度解体して、真っ直ぐに建て直す「基礎工事」や「リフォーム」のようなものです。
一方でヘアカラーは、外壁や内装にペンキを塗って綺麗に見せる「塗装工事」にあたります。
もし、先に綺麗にペンキを塗った(カラーをした)後に、壁を壊して骨組みを直す工事(縮毛矯正)をしたらどうなるでしょうか?
せっかく塗ったペンキは剥がれ落ち、傷だらけになってしまいますよね。これと同じことが髪の毛の中でも起こるんです。
形状を変える施術は最優先
縮毛矯正は、髪の内部にある「シスチン結合」という結合を薬剤で一度切断し、アイロンの熱で形を整えてから再結合させるという、毛髪科学の中でも最も大掛かりな「手術」に近い施術です。
まずはこの大掛かりな手術で髪のベース(形状)を整えてから、その整ったベースに対して色を入れる(カラー)という手順を踏むことで、ムラのない均一な発色と、美しいツヤ感を得ることができます。
「まずは形、その後に色」。この優先順位を覚えておくだけで、失敗のリスクはグッと減らせるかなと思います。
基本ルールは「縮毛矯正が先」。土台となる髪の形状を整えてからカラーをすることで、薬剤の干渉を防ぎ、色ムラのない美しい仕上がりが期待できます。
先にカラーをすると激しく色落ちする原因


では、逆に「カラーを先」にしてしまい、その後に縮毛矯正をかけると具体的にどうなってしまうのでしょうか?
答えはシンプルで、「驚くほど色が落ちる」ことになります。さらに悪いことに、単に色が薄くなるだけでなく、意図しない色に変色してしまうことさえあるんです。
実は、せっかく入れた色が縮毛矯正の薬剤と熱によって破壊され、激しく色落ちしてしまうリスクが高いのには、明確な化学的理由が3つ存在します。
1. 還元剤による色素の分解(色が壊れる)
縮毛矯正の1剤には、髪の結合を切るための「還元剤(チオグリコール酸など)」という成分が含まれています。
この還元剤は、実は髪の結合だけでなく、ヘアカラーの染料(酸化染料)に対しても作用してしまいます。
特に、カラー剤の中で作られた染料の分子結合を切断・分解してしまう性質があるため、髪の中に定着していたはずの色素が壊され、色が消えてしまったり、変色したりするのです。
特にアッシュ系(青)、マット系(緑)、グレー系などの寒色系カラーは、染料の分子構造が大きくて不安定なため、この還元作用の影響をモロに受けます。
「深みのあるアッシュにしたのに、矯正をかけたらヤンキーみたいなオレンジ色になった」という失敗談は、まさにこれが原因です。
2. アルカリ膨潤による流出(色が漏れる)
縮毛矯正剤は、硬い髪のキューティクルを開くために強い「アルカリ性」で作られています。薬剤を塗布すると、髪は水分を吸ってパンパンに膨らみ(膨潤)、キューティクルが全開になります。
縮毛矯正は髪の深部まで作用するため、表面近くにあるカラー色素を物理的に押し出してしまうのです。
3. アイロン熱による昇華(色が飛ぶ)
縮毛矯正の工程には、180℃前後の高温アイロンプレスが含まれます。多くのヘアカラー染料は熱に弱く、高温にさらされると分解したり、昇華といって気体になって飛んでいったりします。
また、髪内部の水分が水蒸気爆発を起こす勢いで蒸発する際に、一緒になって色素も外へ弾き飛ばされてしまうことがあります。
「カラー先・矯正後」は、お金をドブに捨てるようなものです。どんなに高級なカラー剤を使っても、その後の縮毛矯正ですべて破壊されてしまうので、絶対に避けましょう。
縮毛矯正とカラーの間隔は1週間以上空ける


順番が矯正が先と決まったところで、次に気になるのが「じゃあ、いつカラーに行けばいいの?」という期間の問題です。
私の経験上も、そして毛髪理論的にも、理想的な間隔は縮毛矯正の後、1週間から2週間ほど空けてからカラーをすることです。
なぜ「1週間」必要なのか?
「翌日じゃダメなんですか?」とよく聞かれますが、おすすめできません。その最大の理由は、縮毛矯正直後の髪が「まだ不安定だから」です。
縮毛矯正の2剤(酸化剤)で髪を再結合させますが、実はサロンを出た時点で100%結合が完了しているわけではありません。
残りの数パーセントは、その後48時間〜1週間ほどかけて、空気中の酸素と触れ合うことでゆっくりと結合し、完全に定着していきます(これを空気酸化と呼びます)。
この「結合が定着しようとしている大事な期間」に、アルカリカラー剤という強力な薬剤を使って再びキューティクルを開いてしまうと、定着しかけていた結合が邪魔されてしまい、縮毛矯正の持ちが悪くなったり、クセが戻ってしまう(リバウンド)原因になります。
pH(ピーエイチ)バランスを整える期間


もう一つの理由は「pH」です。健康な髪は「弱酸性(pH4.5〜5.5)」ですが、縮毛矯正後は薬剤の影響で「アルカリ性」に傾いています。
アルカリ性に傾いた髪は、キューティクルが閉じきっておらず、非常に無防備で傷みやすい状態です。



この状態で、さらにアルカリ性のカラー剤を重ねるのは、傷口に塩を塗るようなもの。
髪がボロボロになり、深刻な「ビビリ毛」を引き起こすリスクが跳ね上がります。
自宅でのシャンプーなどを通して、髪が自然に弱酸性に戻るまでには、やはり1週間程度の時間が必要です。
| 期間 | 髪の状態 | カラー施術の可否 |
|---|---|---|
| 施術当日〜2日後 | 結合が不安定・アルカリ残留 | × 絶対に避けるべき |
| 3日〜6日後 | 徐々に安定してくる | △ できれば避けたい |
| 1週間〜2週間後 | 結合安定・pHも正常化 | ◎ ベストタイミング |
焦る気持ちを抑えて、最低でも1週間は髪を休ませてあげることが、長期的にツヤ髪を維持するための近道かなと思います。
縮毛矯正とカラーの同時施術ができる条件


「忙しくて、2回も行く時間なんてない!」
「どうしても今日中に全部終わらせたい!」
という方も多いですよね。
現代人は忙しいですから、その気持ちは痛いほど分かります。実は、条件次第では同日施術も可能な場合があります。
法律(薬機法)の壁を知っておこう
まず前提として、日本の法律(医薬品医療機器等法、旧薬事法)には、「医薬部外品」に分類されるパーマ剤(縮毛矯正剤含む)と、「医薬部外品」に分類されるヘアカラー剤を、同じ日に同じ人に対して施術してはいけないという決まりがあります。これは、頭皮や髪への負担が大きすぎて危険だからです。
一般的な美容室で使われている「しっかり伸びる縮毛矯正」と「しっかり染まるカラー」は、ほとんどがこの「医薬部外品」です。
つまり、これらを組み合わせて「今日両方やってください」と頼んでも、法律遵守のサロンであれば「法律で禁止されているのでできません」と断られるのが普通です。
同日施術を可能にする「コスメストレート」
しかし、この規制には抜け道…いえ、解決策があります。それが「化粧品登録」の薬剤を使用することです。
近年、メーカーの努力により、「医薬部外品」ではなく「化粧品(コスメ)」として登録できる、優しい成分で作られた縮毛矯正剤(通称:コスメストレート、コスメクリーム)や、カラー剤(塩基性カラー、マニキュアなど)が開発されました。
法律で禁止されているのは「医薬部外品 × 医薬部外品」の組み合わせだけです。つまり、どちらか一方、あるいは両方が「化粧品」であれば、同日に行っても法律上問題なく、髪への負担も比較的抑えられるとされています。
同日施術を希望する場合は、予約の時点で必ず「縮毛矯正とカラーを同じ日にやりたい」と伝えましょう。サロン側が、化粧品登録の薬剤(コスメストレートなど)を用意できるかどうかを確認する必要があります。
ただし、化粧品登録の薬剤は、医薬部外品に比べてパワーがマイルドな傾向があります。
剛毛でクセが強いという方の場合、コスメストレートではクセが伸び切らない可能性もあるので、担当の美容師さんとよく相談してくださいね。
縮毛矯正とカラーで髪が痛まない酸性メニュー


最近、InstagramやTikTokなどで髪質改善や酸性ストレート」という言葉を見かけませんか?これらは、縮毛矯正とカラーを両立させたい方にとって、まさに救世主のような存在です。
従来の「アルカリ」と最新の「酸性」の違い
従来の縮毛矯正は、アルカリ性の薬剤でキューティクルを無理やりこじ開け、髪を膨らませて軟化させる手法でした。
これは手術で言うと「お腹を大きく切開する手術」のようなもので、体(髪)への負担が非常に大きかったんです。
対して「酸性ストレート」は、髪本来の弱酸性の領域(pH4.5〜6.0付近)のまま作用させます。
特殊な還元剤を使うことで、キューティクルを閉じたまま、隙間からそっと薬剤を浸透させ、内部の結合だけを優しく切ることができます。
これは「内視鏡手術」のように、傷口を最小限に抑えることができる革新的な技術なんです。
酸性ストレート×弱酸性カラーの最強コンビ
この「酸性ストレート」の何が素晴らしいかというと、カラーとの相性が抜群に良いことです。
通常のカラー剤はアルカリ性ですが、最近はカラー剤にも「弱酸性カラー(微アルカリカラー)」というダメージレスな種類が増えています。
酸性ストレートで形を整え、その直後に弱酸性カラーで色を入れる。
この組み合わせなら、髪はずっと弱酸性の安定した状態を保てるため、pHの激しい変動によるダメージ(アルカリ膨潤⇔酸収斂の繰り返しによる疲労)を防ぐことができます。
- メリット: 同時施術でも驚くほど傷まない。色持ちが良い。ツヤ感が圧倒的。
- デメリット: 高度な技術が必要なため、施術料金が高め。施術時間が長い。
もし予算に余裕があり、「とにかく髪を傷めたくないけど、矯正もカラーもしたい!」という場合は、酸性ストレート(酸性縮毛矯正)を得意としているサロンを探して予約するのが、現時点で最も賢い選択肢かなと思います。
縮毛矯正とカラーはどっちが先か状況別の対策


基本は「矯正が先」とお伝えしましたが、髪の状態や目的によっては例外もあります。ここでは、白髪染めやブリーチ毛、リタッチなど、具体的なシチュエーション別の対策をご紹介します。
縮毛矯正と白髪染めを併用する場合の手順


白髪染め(グレイカラー)をしている場合でも、基本的には「縮毛矯正が先、白髪染めが後」のルールは変わりません。
白髪染めは通常のカラーよりも濃い色素をしっかり入れる必要がありますが、もし先に染めてから縮毛矯正をしてしまうと、根元の白髪部分の色が薬剤で分解され、赤茶けて浮いてしまう「白浮き」という現象が起きやすいんです。
「せっかく染めたのに、根元だけキラキラ光ってる…」なんてことにならないよう、まずは矯正でベースを整え、1週間後にしっかり白髪を染めるのが一番綺麗に仕上がります。
ブリーチ毛への縮毛矯正とカラーは高リスク


ハイトーンカラーやハイライトを楽しんでいるブリーチ毛の方。正直に言いますと、ブリーチ毛への縮毛矯正とカラーの併用は、最高レベルに危険です。
ブリーチで体力を削られた髪に、通常のアルカリ縮毛矯正を行うと、髪が耐えきれずにチリチリになる「ビビリ毛」や、最悪の場合は断毛してしまうリスクがあります。
「どうしてもやりたい!」という場合は、以下の条件が必須かなと思います。
- ブリーチ毛対応の「酸性ストレート」に精通した美容師さんにお願いする
- カラーはダメージのない「塩基性カラー」や「マニキュア」にする
- 多少の色落ちやダメージのリスクを覚悟する
多くのサロンではお断りされるケースも多いので、事前のカウンセリングでしっかり相談してくださいね。
根元のリタッチなら同日施術も可能な理由





全体を染めるわけじゃなくて、伸びてきた根元だけ染めたい
この「リタッチ」の場合は、同日施術のハードルがぐっと下がります。
なぜなら、縮毛矯正の薬剤を塗る場所(クセが強い部分)と、カラー剤を塗る場所(根元の新生部)を塗り分けることができれば、薬剤同士が髪の上で干渉しないからです。
特に根元カラーであれば、毛先のダメージ部分に負担をかけずに済むので、縮毛矯正と一緒に済ませてしまうのは賢い選択肢の一つです。
ただし、これもサロンの方針によるので確認は必要ですね。
縮毛矯正とカラーの失敗を防ぐケアとヘマチン


無事に施術が終わっても、油断は禁物です。施術後の髪には、シャンプーだけでは落としきれない残留アルカリや過酸化水素が残っており、これらが家に帰ってからもジワジワと髪を痛めつけ、色落ちを加速させます。
これを食い止めるために最強の成分がヘマチンです。
ヘマチンには、残留している薬剤成分を分解・除去する働きがあります。さらに、傷んだ髪のタンパク質を補強してくれる効果も。
施術後1週間は、成分表に「ヘマチン」と書かれたシャンプーやトリートメントを使うのが強くおすすめです。
また、洗浄力の強い市販のシャンプー(ラウレス硫酸Naなど)は避けて、優しい「アミノ酸系」を選んでください。
縮毛矯正とカラーはどっちが先かのまとめ


最後に、これまでの内容をまとめます。あなたの優先順位に合わせて、最適なプランを選んでくださいね。
- 失敗したくないなら:
「縮毛矯正」が先、1〜2週間空けて「カラー」が鉄則。 - 時短したいなら:
「コスメストレート」や「酸性ストレート」での同時施術を相談する。 - 白髪染めなら:
色落ちを防ぐため、矯正を先にしてから後日染めるのがベスト。 - アフターケア:
「ヘマチン」配合のケアアイテムで残留薬剤を除去し、色持ちを良くする。
縮毛矯正とカラー、どちらも楽しむためには「順番」と「ケア」が命です。焦らず計画的に施術を受けて、サラサラで綺麗な髪色の両方を手に入れてくださいね!









